(墨絵:朝野家社長 朝野泰昌)
木や、土や、漆など、自然の素材でつくる器の工房を訪ねたことがありますか。使われている材料、その土地の空気、工房に積み重ねられた年月。それらのすべてが、独特の匂いを醸し出しています。
そんな匂いも旅の思い出になる、「テマヒマうつわ旅」という工房ツアーが、福島県の会津若松市で行われています。
「テマヒマうつわ旅」は、400年の歴史を持つ漆の器、会津漆器の魅力を、作り手と使い手が直接出会うことでより深く知ってもらおう、と企画されました。普段は立ち入ることのできない工房を訪ね、職人の技を間近で見たり、職人の手ほどきで制作体験ができる、およそ3時間のツアーです。
漆器は、専門の職人たちの分業制で仕上げていく器です。木材から素地をつくる木地師(きぢし)、漆を塗り重ねる塗り師(ぬりし)、その上に漆で美しい模様を描く蒔絵師(まきえし)。それぞれの丁寧な手仕事を経ることで、一つの器が完成するのです。
ですから、工房ごとに仕事の内容も使う道具も異なり、本物の漆器がどんなにテマヒマかけてつくられているか、このツアーに参加して初めて知る人も多いとか。木の匂い。漆の匂い。それぞれの工房に漂う匂いも、旅の記憶に刻まれているそうです。
みなさんの身近にも、そうしたものづくりの工房はありませんか。
見学できる機会があればぜひ、足を運んでみてください。どんな匂いが迎えてくれるか、楽しみですね。
*『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞・大阪日日新聞に掲載されます。
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