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/// 日本茶と蘭字ラベル ///2015.5.6放送分 

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(墨絵:朝野家社長 朝野泰昌)

夏も近づく五月は、新茶がおいしい季節ですね。
ふくよかな香り、鮮やかな緑、ほのかな甘みもある繊細な日本の緑茶は、世界中にファンを広げています。

味や香りの良さだけでなく、健康的な飲み物というイメージも追い風となって、海外に輸出される日本茶の需要は伸びているとか。そのことを知って、日本茶が世界に進出した歴史を調べてみると、「蘭字(らんじ)」と呼ばれたラベルも、海外での人気にひと役買っていたことがわかりました。

幕末から大正時代にかけて、横浜や神戸の港から海を渡った日本茶には、アルファベットをデザインしたラベルが貼られていました。蘭字とはもともと西洋の文字という意味ですが、日本茶の業界では、この輸出用のラベルのことを蘭字と呼んでいたそうです。

西洋の文字に富士山や着物姿の美人画などをあしらった、和洋折衷の華やかな蘭字を木版画で制作したのは、浮世絵の職人たち。明治時代の日本には西洋式の印刷技術もありましたが、当時のインクは匂いが強く「日本茶のラベルにはふさわしくない」と、伝統的な木版印刷が採用されたのだとか。

浮世絵職人の高度な技と芸術性が生んだ蘭字は、欧米で日本ブームが巻き起こるきっかけの一つになった・・・とも言われています。

新茶を味わいながら、そんな歴史にも思いをはせてみませんか。

『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞・大阪日日新聞に掲載されます。

また朝野家ホームページ「朝野家・香りの散歩道」のバナーからもお聞きいただけます。
by asanoyayu | 2015-05-06 07:57