朝野家スタッフのblog

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/// 炭は湯の沸くように置き ///2016.1.20放送分

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(墨絵:朝野家社長 朝野泰昌)

火鉢や囲炉裏の火を囲んだことがある皆さんは、炭火の暖かさをよくご存じでしょう。そして、部屋に漂う炭の香りも、心に温もりと安らぎをもたらしてくれますね。

昭和初期に活躍した俳人、日野草城(ひの・そうじょう)は、炭の香りでこんな一句を詠みました。

炭の香(か)に待つことしばしありにけり

しばし待つのは、火が起こるまでの時間でしょうか。それとも、炭の香りに身をゆだねて、別の何かを待っていたのでしょうか・・・。句の解釈は皆さんにおまかせしますが、五七五の十七文字に、炭の香りが漂う静寂な空間と、そこに流れる時間が見事に詠み込まれていますね。

また、日本の炭は見た目も美しく、茶の湯では、釜をかける炉に炭が置かれた景色も味わいます。

亭主が客の前で炭をつぐこの作法は、炭手前と呼ばれますが、千利休(せんのりきゅう)は、「炭は湯の沸くように置き」という言葉で、その心得を説きました。かたちばかりにとわれて湯が沸かないのでは、せっかくの美しい炭も消え炭に。ちょうど良い火加減にするためには、炭に対する知識と茶人としての経験が必要です。

そして、炭手前では炭をつぎ終えると香を焚いて茶室を清めます。

 湯の沸く音も、清めの香も、茶の湯のもてなしの一つですが、それもこれも良い炭があればこそ。おいしい一服をいただいたときには、炭に思いを馳せてみませんか。

『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞・大阪日日新聞に掲載されます。

また朝野家ホームページ「朝野家・香りの散歩道」のバナーからもお聞きいただけます。
by asanoyayu | 2016-01-20 08:08 | 朝野家・香りの散歩道