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/// 心変わりの七変化 /// 朝野家・香りの散歩道2016.6.22放送分

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(墨絵:朝野家社長 朝野泰昌)

六月の雨に咲く紫陽花の花。

ちょっと憂鬱な雨の日も、天からの恵みを喜ぶように、花しずくをたたえる紫陽花を見ると、心がやわらぎませんか。日本生まれの紫陽花は、万葉の昔から人々に愛され、和歌にも詠われてきました。

日本に現存する最も古い和歌集「万葉集」には、紫陽花の歌が二首収められています。

そのうちの一首は長寿を祝う歌で、紫陽花が幾重にも咲くように、いつまでも健やかでいてください。この花を見るたびに、あなたのことを思い出します・・・と、長く咲き誇る紫陽花に、長寿のイメージを重ねています。

そして、もう一首は「七変化(しちへんげ)」という別名があるように、色を変える紫陽花の移ろいやすさを、「心変わり」ととらえた歌です。

言問(ことと)はぬ 木すら あぢさゐ 諸弟(もろと)らが
練(ね)りの村戸(むらと)に あざむかえけり


言葉を言わない木でさえも、紫陽花のように移ろいやすいものです。巧みな言葉に、私はすっかり欺かれてしまいました・・・。

万葉集の中でも、特に解釈が難しい歌で、作者の大伴家持(おおともの・やかもち)が、誰に欺かれたと思っていたのかは定かではありません。

紫陽花を見て、誰かを思い続ける歌を思い出すか、誰かに欺かれた歌を思い出すか・・・その日の心持ちによって、私たちの見方も変わるかもしれませんね。

それもまた、「七変化」と呼ばれる花の成せる技でしょうか。

*『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞・大阪日日新聞に掲載されます。

また朝野家ホームページ「朝野家・香りの散歩道」のバナーからもお聞きいただけます。
by asanoyayu | 2016-06-21 22:09 | 朝野家・香りの散歩道