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/// 藤袴 ///2017.09.20放送分

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(墨絵:朝野家社長/朝野 泰昌)

秋の七草の一つ、藤袴をご覧になったことがありますか。万葉の昔から日本人に親しまれてきた植物で、夏の終わりから秋にかけて淡い藤色の花を咲かせます。

「名前は聞いたことがあるけれど、どんな花か思い出せない・・・」という方もいらっしゃるでしょう。無理もありません。藤袴は残念なことに、環境省の準絶滅危惧種に指定されていて、野に咲く姿を見ることは、なかなかできない花になってしまいました。

ましてや、蘭の花にもたとえられる香りを、実際に嗅いだことがある方は少ないでしょう。その甘い香りは、平安時代の歌人たちを魅了したようで、『古今和歌集』の中には、秋の野に藤袴の香りが漂う情景を、衣服の袴と重ねて詠んだ、こんな歌があります。

なに人(びと)か きてぬぎかけし 藤袴

くる秋ごとに 野べをにほはす(におわす)

どんな人がやってきて、袴を脱いで掛けたのだろう。藤袴は、秋がくるたびに野辺を美しく彩り、良い香りを漂わせることよ・・・。袴を脱ぎ掛けるという表現から、艶(つや)のある歌だとも言われていますが、みなさんは、どのような香りを想像されましたか。

なに人か きてぬぎかけし 藤袴

くる秋ごとに 野べをにほはす

今では貴重な藤袴ですが、運良く出会うことができたら、清楚で麗しい姿だけでなく、香りにも心を寄せてみてはいかがでしょう。

*『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、毎週水曜日FM山陰(16:5517:00)放送、日本海新聞・大阪日日新聞に掲載されます。

また朝野家ホームページ「朝野家・香りの散歩道」のバナーからもお聞きいただけます。



by asanoyayu | 2017-09-20 07:29 | 朝野家・香りの散歩道