( 墨絵:朝野家社長 朝野 泰昌 )
冬に旬を迎える食べ物は、たくさんあります。
海の恵み、海苔もそうですね。この時期に出回るものは「新海苔」と呼ばれ、お歳暮などの贈り物としても人気があるようです。「新海苔」という言葉は、俳句の季語にもなっています。
新海苔の 艶はなやげる 封を切る (しんのりの つやはなやげる ふうをきる)
新海苔は、見た目の艶が素晴らしいだけでなく、封を切ったときの香りも、華やかであることを思わせる句です。
作者の久保田万太郎(くぼた・まんたろう)は、明治22年、東京の浅草に生まれました。浅草といえば、古くから海苔にゆかりのある場所です。江戸時代、日本で海苔の養殖が始まり、摘み取ったものを乾燥させ、板状に加工したものを「浅草海苔」と呼んでいました。
なぜ、その名がついたのでしょうか。
一説によると、当時の浅草は和紙の産地でもあり、江戸湾でとれた海苔を紙漉きの技術で加工したことが、由来ではないかと言われています。やがて、「浅草海苔」は江戸の名物になり、加工技術が各地に伝わりました。浅草は、日本の海苔づくりに貢献していたのですね。
新海苔の 艶はなやげる 封を切る
この季節、新海苔の封を切った瞬間に鼻をくすぐる、華やかな香りを味わってみませんか。
*『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞・大阪日日新聞に掲載されます。
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