(墨絵:朝野家社長 朝野泰昌)
青じそやみょうが、ねぎ、しょうがなど。薬味に使う香りの強い野菜のことを、香味(こうみ)野菜といいます。暑さや湿気で食欲がなくなりがちな季節は特に、ピリッと香味の効いた料理が恋しくなりますね。
食べることが大好きで、料理上手で知られた作家の向田邦子(むこうだ・くにこ)さんは、香味野菜をいつも冷蔵庫に欠かさなかったそうです。しかも、添え物にするだけでなく、香味野菜を主役にしたおかずを、見事な包丁さばきであっという間に作っていたとか。
根三つ葉のきんぴら、焼きねぎ、みょうがと焼きなすのみそ汁・・・想像しただけでも、いい香りがしてきそうですね。
また、大のごはん党だったという向田さんは、香味野菜を使ったオリジナルのごはん料理も得意でした。お酒と塩を加えたごはんを炊いて、せん切りのしその葉を混ぜ込んだ青じそごはんや、たっぷりのクレソンを細かく刻んで入れたクレソンチャーハンなど。
白いごはんに緑が映えて、香りだけでなく見た目でも食欲をそそられそうです。
具が香味野菜一種類だけというシンプルさも、潔くていいですね。キッチンに立つときはいつも、コットンのスカーフで髪をきっちりまとめ、手早く、気取らず、いつものおかずで来客をもてなしたという、向田さんらしい手料理ではないでしょうか。
この夏は皆さんも、香味野菜を主役にした料理を工夫してみませんか。
*『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞・大阪日日新聞に掲載されます。
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