(墨絵:朝野家社長 朝野泰昌)
この地球上には、香りのいい植物がたくさんありますが、その昔「緑の金」と呼ばれていたほど高価な植物があるのをご存じですか。
甘い香りで世界中の人々を虜にしている、バニラです。白い花を咲かせるラン科の植物で、その花は一日しか咲きません。
バニラといえば、アイスクリームやチョコレートなどの甘い香りでおなじみですから、花はさぞかしいい香りがするだろう・・・と思いませんか?ところが、意外なことに花には香りがありません。芳香を放つのは成熟した種子の部分で、バニラビーンズと呼ばれています。
バニラビーンズをつくるのはとても手間のかかる作業で、バニラの花が咲くと人の手で一つ一つ人工授粉しなければなりません。しかも、莢が緑のうちは香りがなく、摘み取った莢をお湯につけて天日で干すことを繰り返す「キュアリング」という工程を経て、焦げ茶色になったものがバニラビーンズとして出荷されます。
天然のバニラビーンズが、今でも高価な理由がおわかりいただけたでしょう。家庭でバニラビーンズを保存するときは、莢のまま砂糖の中に埋めておくのもおすすめです。そうすると砂糖に香りが移り、ケーキやクッキーなどのお菓子づくりに使えば、甘くてやさしいバニラの香りが楽しめます。
貴重なバニラビーンズの香りが逃げてしまわないうちに、皆さんのアイデアで使いこなしてみませんか。
*『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞・大阪日日新聞に掲載されます。
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