(墨絵:朝野家社長 朝野泰昌)
今日、11月2日は「白秋忌」。明治から昭和にかけて活躍した詩人、北原白秋(きたはら・はくしゅう)が、この世に別れを告げた日です。
白秋は、きらびやかな言葉を使いこなして、膨大な数の詩や童謡を生み出したことから、「言葉の魔術師」といわれています。そんな白秋が、私たちに残してくれた作品の中から、『言葉』という詩の一節を紹介しましょう。
言葉は光る。
プリズムの影よ。
花火や、蛍、とんぼの眼玉(めだま)、ひィとつひィとつ光る。
言葉はかおる。
紅薔薇(べにばら)、野茨(のばら)、山椒(さんしょ)の木(こ)の芽、牝山羊(めやぎ)のお乳(ちち)、
ひィとつひィとつかおる。
「言葉の魔術師」北原白秋の手にかかると、身のまわりにあるものの名前、ひとつひとつが光を放ったり、香り立つように聞こえませんか。
それは、あなたの想像力が豊かであればこそ。白秋が光る言葉、香る言葉として選んだ一語一語を耳にしても、頭の中にイメージが広がらなければ、光ることも香ることもないでしょう。
言葉は、本当に不思議な生き物ですね。
*『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞・大阪日日新聞に掲載されます。
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