この鐘は、終戦から6年後の昭和26年、パリで開催された国連総会にオブザーバーとして参加した、当時の日本国連協会代表・中川千代治(なかがわ・ちよじ)さんの呼びかけによって造られました。
中川さんは国連総会で「世界の平和を願う人々からコインをいただき、その平和への祈りを一つにした鐘を国連に寄贈して、平和のために鳴らしてほしい」と訴えたそうです。
当時はまだ、日本は国連に加盟を許されていませんでした。その国からの提案に、果たして耳を傾けてもらえるのか…結果は、賛同してくれた65カ国の代表者から、各国で使われているコインが贈られたのです。
それを日本に持ち帰り、世界のコインを溶かし込んで鋳造された鐘には、「世界絶対平和万歳」という文字と、平和の象徴である月桂樹の模様が刻まれました。鐘の鋳造には、中川さんの出身地である四国の人々が、無償で力を尽くしてくれたという逸話も語り継がれています。
そして、昭和29年。世界平和への思いを一つにした鐘の音は、ニューヨークの国連本部で鳴り響いたのです。「終戦の日」の今日、みなさんはどんな願いを空高く響かせたいですか。
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