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/// 太目の海苔巻 ///2019.11.13日放送分



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(墨絵:朝野家社長/朝野 泰昌)


磯の香りにご飯もすすむ、新海苔の季節ですね。のり弁、海苔巻、手巻寿司。皆さんは、どんな食べ方がお好きですか。


料理上手としても有名だった昭和の作家、向田邦子(むこうだ・くにこ)さんは、子どものころから海苔巻の端っこが大好きだったそうです。ご飯の割に干瓢と海苔の量が多い端っこは、ことのほかおいしかったから。


遠足の朝、母親が作ってくれるのは、海苔巻と決まっていました。前の晩のうちに煮ておいた干瓢を入れた太目の海苔巻で、遠足に行く子どもが一人でも、家族七人分を巻いてくれていたそうです。


朝起きると、黒光りする海苔を祖母が火鉢で丹念にあぶっていて、そばで母親が巻きすを広げている。何本か巻いて包丁で切りはじめると、向田さんは端っこが食べたくて落ち着かなかったとか。


なぜなら、端っこは父親も大好物だったのです。父親は普段、蒲鉾でも羊羹でも真ん中を食べるのが好きなのに、なぜか海苔巻だけは向田さんのライバルでした。


昭和のはじめの食卓ですから、母親は端っこをいくつか小皿にのせて、まず父親に出します。それを当たり前のように、新聞を読みながら手をのばして食べる父。向田さんが口にできるのは二切れか三切れで、子ども心にも、大人は理不尽だと思っていたそうです。


大人になって、遠足のことを思い出そうとすると、目に浮かぶのは、朝の海苔巻づくりの光景だけ。


皆さんにも、そんな海苔巻の思い出はありませんか。


『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、毎週水曜日FM山陰(16:5517:00)放送、日本海新聞・大阪日日新聞に掲載されます。

また朝野家ホームページ「朝野家・香りの散歩道」のバナーからもお聞きいただけます。


by asanoyayu | 2019-11-07 00:51 | 朝野家・香りの散歩道