ハギレを使ってセンスのいい小物を作るのが得意な彼女は、「この袋の中に自分の好きな香りを入れてね」と、手紙に添える文香を入れて持ち歩くことを提案してくれました。とても素敵なアイデアだと思いませんか。
そして、ひと針ひと針、心を込めて縫われたものには、受け取る相手のことを思いやる、その時間まで縫い込まれているような気がします。
今週の土曜日、2月8日は、裁縫に使った針を供養する「針供養の日」です。一年間いっしょに働いてくれて、折れたり曲がったりした針を、豆腐などのやわらかいものに刺して神棚にあげ、感謝の気持ちで手を合わす・・・。
裁縫の上達を願い、道具を大切にする心も育んできた伝統行事で、この日だけは「針仕事をしてはいけない」とも言われています。
働き者の針にお休みをあげる日であり、人間も針仕事から解放される日。昔は、針供養の日に息抜きができることを、楽しみにしていた女性たちもいたようです。
江戸時代には、中国山地で盛んだった「たたら製鉄」の鉄を使って、針が作られていました。そんな歴史にも思いをはせながら、2月8日は針に「ありがとう」の気持ちを伝えませんか。
*『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞・大阪日日新聞に掲載されます。
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