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「う尽くし」2020.07.15放送分

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( 墨絵:朝野家社長 朝野 泰昌 )


この夏を、元気に乗り切るために食べたいもの。皆さんは、どんな料理を思い浮かべますか。今年の「土用の丑の日」は、7月21日を「一の丑」、8月2日を「二の丑」の二回あります。そう聞いただけで、蒲焼きの匂いが漂ってきそうですね。

けれど、土用に鰻を食べる風習は、江戸のまちから広まったそうで、上方などでは馴染みのないものだったとか。

その上方から江戸にやって来た、澪(みお)という名の女料理人が主人公の時代小説『みをつくし料理帖』には、一風変わった土用の料理が登場します。

うんざりするような暑さを忘れられる料理で、お客さんに喜んでもらいたい。けれど、鰻は値が張るので、もっと手頃で滋養のつくものはないか・・・と、澪が思いついたのは、鰻ではなく「う」という言葉がつく料理を集めた「う尽くし」の膳でした。

澪が作る土用の料理を楽しみにやって来た、お客さんの前に運ばれたのは・・・酢でしめたアジをおからで和えた「卯の花和え」。豆腐に梅干しをはさんで揚げた「梅土佐豆腐(うめとさどうふ)」。トウガンにとろみをつけた「瓜の葛ひき」。土用しじみを埋(うず)めた「埋め飯(うずめめし)」。

工夫を凝らした「う尽くし」の料理を食べた常連客は、こんな褒め言葉を澪に贈りました。

「目に美し、口にして旨し、心に嬉し。これこそ、まさに『う』尽くしです」。粋な言葉遊びで笑い合う、これもまた暑気払いになりそうですね。
*『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞・大阪日日新聞に掲載されます。

また朝野家ホームページ「朝野家・香りの散歩道」のバナーからもお聞きいただけます。


by asanoyayu | 2020-07-15 07:38 | 朝野家・香りの散歩道