(墨絵:朝野家社長/朝野 泰昌)入学式の季節ですね。ちょっと緊張している子どもたちが笑顔になって、学校生活を楽しく送ってくれることを願っています。
昔の人は、子どもに愛情をそそいで大切に育てることを、「蝶よ花よ」と言いました。
さらに時をさかのぼり、千年前の平安時代には、蝶と花の順番が逆で「花や蝶や」と言われていたことをご存じでしょうか。
美しいものを見て心が浮き立つ、そんな様子を表す言葉として、平安時代の随筆『枕草子』にも登場します。作者の清少納言(せいしょうなごん)は、ある日、宮廷で支えていた皇后さまから、こんな歌を贈られたそうです。
みな人の 花や蝶やと いそぐ日も わが心をば 君ぞ知りけるみんながいそいそと、「花や蝶や」と美しいものに浮かれている日も、あなただけは私の気持ちを分かってくれているのですね・・・という歌です。
不遇な状況にあった皇后さまに寄り添いつづけた清少納言は、心から信頼されていたのでしょう。
その「花や蝶や」が、いつしか「蝶よ花よ」になり、やがて「蝶よ花よと育てられ」という言葉づかいが、小説にも見られるようになったのです。そして、愛情たっぷりに育てて甘やかしたり、機嫌を取ったりする、「ちやほや」という言葉の語源になったという説もあります。
「花や蝶や」が「蝶よ花よ」となって「ちやほや」へ。日本語はおもしろいですね。
*『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞・大阪日日新聞に掲載されます。
また
朝野家ホームページ「朝野家・香りの散歩道」のバナーからもお聞きいただけます。